2017年流行語大賞にもノミネートされた「人生100年時代」とは、どのようなことを指すのでしょう。
今日、私達は医療の発達、栄養状態や衛生環境の改善などによって、100年も生きられる時代を迎えています。あなたはこれからの時代、今まで通りの働き方や生き方で大丈夫なのか考えたことはありますか。あなたの祖父母、両親のような老後を暮らせると思っていませんか?今からでも遅くありません、慌てず、でも、しっかりと考えてみましょう。
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「人生100年時代」とは
過去200年間、人の平均寿命は伸び続けています。そこから導かれる予測は、2107年には主な先進国では半数以上の人が100歳よりも長生きすると推測されています。すると、今まで80歳程度の平均寿命を前提に考えられてきた政治・経済・生活が、国・組織・個人全てにおいて抜本的に考え直されなければならない時が来ています。この難題に英国の経営学者リンダ・グラットン教授と経済学者アンドリュー・ スコット教授がコンビで正面から向き合い著した本が、『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』であり、この中で提言されました。
長寿国家! 我が国、日本はどうなる
リンダ・グラットン教授は、著書『ライフシフト』のなかで、2つの試算を紹介しています。
まずは、先進国において今の年齢で
- 20歳は100歳以上
- 40歳は95歳以上
- 60歳は90歳以上
まで生きる確率が、5割以上あるというのです。
そして日本に限って言えば、
なんと2007年に生まれた子どもの半分が107歳まで生きるとされています。
こうした試算から「未だかつて経験したことがないくらい長生きする時代が、近い将来やってくる」「我々、現役世代とその子どもたちは、定年までの貯蓄と年金だけでは絶対足りない年数を生きる可能性が高く、今までの生き方では適応できないため、長寿の恩恵を享受できるようなものへと、生き方を変える必要がある」と注目を浴びるようになったのです。
そして日本政府はこの問題に早くから取り組んでおり、2017年9月8日に「人生100年時代構想推進室」の看板を掲げました。
人生100年時代構想について
一億総活躍社会実現、その本丸は人づくり。子供たちの誰もが経済事情にかかわらず夢に向かって頑張ることができる社会。いくつになっても学び直しができ、新しいことにチャレンジできる社会。人生100年時代を見据えた経済社会の在り方を構想していきます。
引用元:首相官邸 人生100年時代構想より(平成30年10月15日更新)
と掲げ、長寿国家として名高い日本では、2017年9月に日本政府によって「人生100年時代構想会議」が開催され、以降2018年6月までに9回開催されています。
人生100年時代構想 骨子
具体的なテーマ
- 教育の負担軽減・無償化
- リカレント教育
- 人事採用の多元化
日本政府は教育改革として、まず2019年10月から3~5歳の子どもたちにおける幼稚園・保育園費用の無償化が始まる見込みで低所得世帯の0~2歳児も無償化の対象としています。同時に待機児童の解消にも力を注ぎ、2020年度までに32万人を受け入れられるよう計画しています。
高等教育の無償化、給付型奨学金の支給額増大。などすべての子どもたちの可能性を広げる仕組みづくりが提案されています。しかし、子どもの問題だけではありません。
生涯にわたって学習を繰り返すことのできる教育システム、リカレント教育にも政府は積極的に取り組む姿勢を見せているのです。教育を行う側の人事採用の多元化にも取り組み、「人づくり革命」といわれるプランニングが進められています。
また新卒一括採用だけでない企業の人材採用の多元化、そして多様な形での高齢者雇用。
この様に、骨子を推進すべく日本政府は、2017年11月30日開催の第3回人生100年時代構想会議にリンダ・グラットン教授を招き、意見交換を行い推し進めています。
平均寿命と健康寿命の定義
人生100年時代、人間が100歳以上生きれる時代を迎えている今、新聞やニュースなので平均寿命とか健康寿命とかよく聞くと思いますが、それぞれの意味をご存知ですか?
読んで時の如く、平均寿命は亡くなられた人の年齢で、健康寿命は病気などせずに健康でいられる年齢と思われてませんか。それぞれ意味がありますので見ていきましょう。
平均寿命とは
毎年、厚生労働省が「簡易生命表」により平均寿命を発表しています。この算出は、亡くなった人の年齢の統計ではありません。
平均寿命とは、その年に生まれてきた赤ちゃんが何歳(余命)まで生きれるだろうと推計されてものなのです。
あなたがどれくらい生きれるかは、その表の各年齢ごとの余命をみて、はじめて知ることができるのです。
それでは最新の平成29年(2017年)生まれの0歳児の平均寿命は
- 男性:81.09歳
- 女性:87.26歳
同じ干支の酉年、12年前にくらべて、男性+2.56歳、女性+1.77歳とのびてきています。これは医療の発達により「悪性新生物(ガン)」の死亡率が下がったことが大きく、また「心疾患」と「脳血管疾患」の死亡率の改善が要因となっています。
そして気にあるアラフィフ世代の平均寿命は
男性(平均寿命) | 女性(平均寿命) | |
40歳 | 余命42.05年(82.05歳) | 余命47.90歳(87.90歳) |
50歳 | 余命32.61年(82.61歳) | 余命38.29年(88.29歳) |
60歳 | 余命23.72年(83.72歳) | 余命28.97年(88.97歳) |
なんとも、余命で表されるとリアルに感じられませんか?。寿命がのびている現在、50歳男性でもあと32年もあるので実感ないかもしれませんが、、、でも死ぬと考えた場合であって、生きると考えた場合は長く感じませんか?ここが問題なのですよね、これからは。
健康寿命とは
健康寿命とは読んで時の如く想像どおりですが改めて見ると、こちらも厚生労働省が健康寿命の全国推移の算定・評価に関する研究よりでています。
健康寿命とは、医療や介護などに依存せず自立して生活ができる生存期間のことを意味します。
健康寿命とはあなたも思われる通り、病気もなく健康で過ごせる年齢ということですね。
2016年時点での算定では
- 男性:72.14歳
- 女性:74.79歳
平均寿命と健康寿命の差が、男性9歳、女性12歳と約10歳もあります。自立した生活ができない期間が10年もある事になり改善していかなくてはなりませんね。これが切実な問題ですよね。
寿命を世界とくらべると
WHO加盟国平均寿命ランキング(WHO:World Health Statistics 2018より)
順位 | 国 | 平均寿命 |
1位 | 日本 | 84.2歳 |
2位 | スイス | 83.3歳 |
3位 | スペイン | 83.1歳 |
4位 | シンガポール | 82.9歳 |
5位 | オーストラリア | 82.9歳 |
なんと日本が堂々1位です。
WHO加盟国健康寿命ランキング(WHO:World Health Statistics 2018より)
順位 | 国 | 健康寿命 |
1位 | シンガポール | 76.2歳 |
2位 | 日本 | 74.8歳 |
3位 | スペイン | 73.8歳 |
4位 | スイス | 73.5歳 |
5位 | フランス | 73.4歳 |
ここでは2位ですが、両寿命とも世界トップレベルであり、この平均寿命と健康寿命差を小さくすることができてこそ、長寿国として誇れるのではないでしょうか。
人生100年時代と寿命の学び
- 人生100年時代とは、英国の教授2氏により著された『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』の中で提言された。
- 人類は100歳以上生きれる時代にきている。
- 祖父母や両親のような、老後はおくれなくなる。
- 日本政府は人生100年代構想会議を立ち上げ、教育制度、生涯教育・学習制度、企業採用多元化に取り組んでいる。
- 平均寿命は、その年に生まれた赤ちゃんが何歳まで生きれるかの余命で表される。
- 寿命は医学の発展で年々のびている。
- 健康寿命は、医療や介護などに依存せず自立して生活ができる生存期間である。
- 平均寿命/世界1位、健康寿命/世界2位である。
- 平均寿命と健康寿命差が約10年ある(自立生活をおくれない期間)
100歳以上生きれる時代を迎え、どんな働き方や生き方をすればよいのか、しっかりと調べて考えて備えなければいけない時代となってきています。日本政府の施策もまだまだ未知です。しかし慌てず、先ずできること、いや、やらなければならないことは健康寿命を延ばすこと、健康でなければ長寿の恩恵もなにもありません。
不健康では、あなたの家計、国の財政を圧迫します。そして生きていても何も楽しくありません。病院通い、寝たきりにならないように、先ずは生活習慣(食事・運動・睡眠)を見直し健康寿命の改善に努めてみませんか。